Old Smith & Wesson Knives

当初はオールドS&Wナイフネタを書こうと思っていたのが、この頃は60~70年代アメリカン・ナイフ再発見の話です

シース

The Sheath

The sheath furnished with each Smith & Wesson knife is hand polished, top grain cowhide made by our own leather craftsmen. All sheaths feature a lock-snap belt loop that opens in one direction only.

シース

それぞれのSmith & Wessonナイフに与えられるシースは、手で磨かれた牛表皮製で、自社の革職人により作られます。すべてのシースは、一方向からのみ外すことのできるロック式スナップボタンで留められるベルトループが特徴です)

 

 シースのデザインは一度変更されている。ここでは便宜的に前期型、後期型と呼ぶ。過渡期や特別モデルで、このパターンから外れたものも存在するかもしれない。

前期型:
エナメルペイント仕上げのダークブラウン革、縫い糸は同色。ベルトループの下端は、「PULL THE DOT」ボタンで留められる(下側から引いたときのみ外れるジャンパーホック)。

後期型:
塗装していないライトブラウン革、縫い糸は概ね白色。ベルトループ下端は糸で縫いつけに変更。形状も変更された。後期型の中でも微妙なステッチ形状の変化がある。


 プル・ザ・ドット式のベルトループはなかなか頓知が利いていて便利である。鞘を脱着するたびにベルトを外すのは面倒だし、少々みっともない姿で要らぬ誤解を受けかねない。ただし、後期型で廃止されたのは、強度に問題があったのではないかと推測する。

 後期型になってデザインが変更されたが、変更は構造の簡略化、工程の省力化を狙ったものであるように思われる。それまで専用品であったボウイとサバイバルのシースも共用となり、コストダウンといえるだろう。そういう意味では前期型のほうが高級感はあるかな。

 素材の皮革は、いずれも高級皮革ではないが必要十分の品質、縫製はしっかりしているが雑なものも見受けられる。もう少し頑張っても良かったのではないかと思ってしまうのがシースである。いずれもデザインはシンプルでなかなか良いだけに惜しまれる。

 ジャンパーホック等の金具は真鍮製で、現存するシースはだいたいここに問題を抱えている。腐食して緑青を吹いているのがそれだ。これは金具にメッキするなりニスを塗るなりすれば防止できただろう。

 私の6010用シースは一つは前期型、もう一つは後期型であり、前期型のベルトループのジャンパーホックは腐食破損している。後期型は留め革の根元部分の金具が腐食し取れかけていた。後期型は修理して付け替え、前期型はこれで型紙を起こして同じデザインのものを誂えようと思っているが未だ果たせず、Randallナイフ用のシースで代用している。